PMBOKとは何か、第6版の内容とそのビジネス上の意義について

2023年11月24日- By Hiromasa Chigusa
 

はじめに

皆さんこんにちは。今日もプロジェクトマネジメントしてますか?一言で「プロジェクトマネジメント」と言っても、具体的に何をするのか、かなり曖昧な印象を持っている人もいるかと思います。

プロジェクトの数だけ特徴は異なり、やり方も現場によって違うわけですが、そんな曖昧なプロジェクトマネジメントにも、実は多くの共通要素があります。

今回は、プロジェクトマネジメントのスタンダードの一つ「PMBOK®」と、その第6版についてとりあげてみたいと思います。

PMBOKとは

PMBOKとは、Project Managementの知識体系(Body of Knowledge)であり、広く知られたプロジェクト管理の手法です。

 

PMBOKはプロジェクトマネジメントに必要な専門知識を統一化する目的で、PMIProject Management Institute, プロジェクトマネジメント協会)という組織によってまとめられました。その歴史は1987年に遡りますが(参考情報[1])、以後改訂を繰り返し、現在は2021年にリリースされた第7版が最新となっています。

 

PMBOKは、効果的なプロジェクト・マネジメントを行うための知識体系です。過去のプロジェクトを踏まえて洗練されてきた汎用的な専門技法及びプロセス、思想体系であり、プロジェクト活動の羅針盤として活用することができるようになっています。

第6版の構成要素

PMBOK®ガイド』第6版は2017年に公開され、2021年に第7版が出るまでの間、最新版として取り扱われてきました。

6版における主な構成要素は次の6点です。

 

PMBOK®ガイドの主要な構成要素

概要

プロジェクト・ライフサイクル

(Project Life Cycle)

プロジェクトの開始から完了までの、一連のフェーズの集まり。

プロジェクト・フェーズ

(Project Phases)

プロジェクト全体を論理的に関連のあるアクティビティの集合で区切った単位。特定の目標や成果物がある。

フェーズ・ゲート

(Phase Gate)

フェーズの終了時に行われ、次のフェーズに進む承認や、今のフェーズに留まるなどの決定が行われる。

プロジェクトマネジメント・プロセス

(Project Management Process)

一連のプロジェクトマネジメント活動。適切なツールおよび技法を用い、一つ以上のインプットから一つ以上のアウトプットを生成する。

プロジェクトマネジメント・プロセス群

(Project Management Process Group)

論理的にグループ化されたプロジェクトマネジメント・プロセス。PMBOK6では5つのカテゴリーに分類されている。

(プロジェクト・フェーズとは異なる点に注意)

プロジェクトマネジメント知識エリア

(Project Management Knowledge Area)

特定のテーマや領域に関連するプロセスや概念をグループ化したもの。

10個の知識エリアが使用されている。

「フェーズ」や「ゲート」など馴染みのあるキーワードに加えて、特に次の3つの記述に比重が置かれています。

  • プロジェクトマネジメント・プロセス
  • プロジェクトマネジメント・プロセス群
  • プロジェクトマネジメント知識エリア

これらについて少し深掘りしてみましょう。

プロジェクトマネジメント・プロセス群とプロジェクトマネジメント知識エリア

「プロジェクトマネジメント・プロセス群」と「プロジェクトマネジメント知識エリア」は、それぞれ関連するカテゴリで幾つかに分類されています。
具体的には、「プロセス群」は5個、「知識エリア」は10個のカテゴリが、それぞれ存在します。

5つの「プロジェクトマネジメント・プロセス群」
• 立ち上げプロセス群 (Initiating):プロジェクトや個々のフェーズの開始時に実行されるプロセス
• 計画プロセス群 (Planning):必要なアクションの詳細化に関連するプロセス
• 実行プロセス群 (Executing):計画で定義された作業を実行するプロセス
• 監視・コントロール・プロセス群 (Monitoring and Controlling):進捗とパフォーマンスを追跡・レビューするためのプロセス
• 終結プロセス群 (Closing):プロジェクトや個々のフェーズを終了する際に実行されるプロセス

10の「プロジェクトマネジメント知識エリア」
• プロジェクト統合マネジメント (Project Integration Management)
• プロジェクト・スコープ・マネジメント (Project Scope Management)
• プロジェクト・スケジュール・マネジメント (Project Schedule Management)
• プロジェクト・コスト・マネジメント (Project Cost Management)
• プロジェクト品質マネジメント (Project Quality Management)
• プロジェクト資源マネジメント (Project Resource Management)
• プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント (Project Communication Management)
• プロジェクト・リスク・マネジメント (Project Risk Management)
• プロジェクト調達マネジメント (Project Procurement Management)
• プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント (Project Stakeholder Management)

プロジェクトマネジメントで実際に実行されるプロセス(プロジェクトマネジメント・プロセス)は、上記で挙げた「プロセス群」と「知識エリア」の個々の組み合わせのいずれかに所属する形で説明されます。
下表がその表現によく使用されます。

図1. プロジェクトマネジメント・プロセス群と知識エリア、プロセスの対応表(資料[2]を基に筆者で再作成)

この中で個々に箇条書きされている活動、例えば「プロジェクト憲章の作成」(「立ち上げプロセス群」と「プロジェクト統合マネジメント」が交わるエリアに所在)が、具体的な「プロジェクトマネジメント・プロセス」となります。

では、個別のプロセスがどのように定められているかを見てみましょう。

プロジェクトマネジメント・プロセス

プロセスの数は全部で49個あり、それぞれのプロセスが一連のプロジェクトマネジメント活動として実行されることになります。

個々のプロセスは、次のように、「何をインプットとし」「どのようなツール・技法を用い」「どのようなアウトプットを出すのか」という形で定義されます。
(インプット、ツールや技法、アウトプットは、「ITTO」(Inputs, Tools, Techniques, Outputs)という言葉で表現されることもあります)

例えば「プロジェクト憲章の作成」の場合、その定義には以下のような図が用いられています。

図2. 「インプット」「ツールと技法」「アウトプット」の例(資料[3]を基に筆者が再作成)

この図から、「プロジェクト憲章 の作成」というプロセスには、標準的に「4つのインプットを元に」「4つのツールと技法を駆使し」「2つのアウトプットを出す」ものであると解釈できます。

PMBOK®ガイドでは49個全てのプロセスについて、このような形で「インプット」「ツールと技法」「アウトプット」が定義されているのです。

テーラリング

とはいえ、ここで定義されている49個全てのプロセスが、全てのプロジェクトで必要になるわけではありません。
プロジェクト・マネジメントには、それぞれの独自性に合わせて、プロセスやフェーズの適切な選択をすることが要求されます。この選択は「テーラリング」と呼ばれます。
プロジェクト・マネージャーは、組織文化や必要とされるガバナンスを考慮し、適切なテーラリングを行う必要があります。

おわりに

これまで見てきたように、プロジェクト管理のプロセスや、開始から終了までのステップを詳細に解説しているのが、PMBOK6の特徴です。

PMBOKによるプロセスの考え方を業務に取り入れている企業もあり、会社としての標準プロセスが、既にある程度PMBOKに則った枠組みで構成されているというケースも見受けられます。
そのような企業では、日々の業務プロセスの実行が自然とPMBOKの考え方を踏襲することになり、今回紹介したようなアプローチには馴染みがあるという人もいるのではないでしょうか。

PMBOK6は、プロジェクトマネジメントに対する統一されたアプローチを提供しています。標準的なガイドラインに則ることで、プロジェクトマネジメントはより効率的に進めることができます。ビジネス的な観点からも、PMBOKがもたらす標準としての知識体系は、リスクを軽減し、効果的にプロジェクトを進められるなどの利点があるのです。

参考情報
[1] PMBOK®ガイド 第7版 p.7
[2] PMBOK®ガイド 第6版 p.25
[3] PMBOK®ガイド 第6版 p.75

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